
銃所持の流れ
日本では原則として銃を持つことは禁止されています。しかしながら銃砲刀剣類所持等取締法(以下、銃刀法)では一定の社会的役割を果たすものとして特定の使用目的下で所持をすることが例外的に認められています。クレー射撃などのスポーツ目的での使用は銃刀法第四条の「標的射撃」によって規定されており、その使用目的に当たっては銃の所持が認められています。
銃の所持には当然ながら所持許可証が必要になります。所持許可は各都道府県の公安委員会によって交付されており、自分の住所を管轄している警察署の生活安全課が窓口になっています。基本的に自分の住んでいる都道府県内でしか一連の申請手続きはできません。銃の所持許可は一銃一許可制、つまり1つの銃に対してその所持許可が与えられるということです。車の免許のように許可を取ったからと言ってどんな銃でも所持していいというわけではありません。
銃の所持許可には以下のステップを踏む必要があります。
STEP 1
初心者講習の申し込み
まず銃を所持するにあたって最初のステップとなるのがこの「初心者講習」受講の申請です。「猟銃等講習会」とも言い各都道府県の公安委員会によって行われています。自分の住所を管轄している警察署の生活安全課が窓口となっているので事前に自分の住所がどこの警察署の管轄なのか調べておきましょう。また銃の所持許可に関わるすべての手続きにも言えることですが都道府県によって或いは警察署によって申請の仕方や必要なものが若干違ってきます。予め警察署の生活安全課に問い合わせて申請の仕方や必要なものについて把握をしておきましょう。もしいきなり警察署に電話するのは気が引けるということであれば、最寄りの銃砲店を訪れて相談することをお勧めします。銃砲店は地域の射撃事情に精通しているのでもし銃の所持許可を取りたいということであれば、必要書類の用意や警察署へ事前に連絡をしてくれたりします。また一人で申請を行う人も何か困ったことがあった際、そしていずれ銃や装弾の購入を相談する先があると心強いので最寄りの銃砲店はあらかじめリサーチしておきましょう。
申し込みに関して必要なものは「印鑑」「申請者の証明写真」「受講料」などです。証明写真のサイズなどは地域によって違いがあるので事前に問い合わせてください。受講料も地域によって若干違ってきますが、おおよそ6000~7000円程度です。
POINT!!
自分の住所を管轄している警察署を調べよう!
最寄りの銃砲店を知っておこう!
必要なものはあらかじめ調べておこう!
STEP 2
初心者講習の受講
初心者講習の申し込みが終わると警察から写真にあるテキストブックが配布されます。内容は主に銃刀法や火薬取締法などの射撃をする上で重要になってくる関係法規等が載っています。講習ではこのテキストブックを使うのでなくさずに当日持ってきてください。初心者講習当日までにしっかり予習をしておきましょう。初心者講習は1日かけて行われます。右写真のテキストブックなどを使って午前中は銃刀法などの法律に関すること、午後は銃の取り扱いなどに関しての講座を受講します。最後に試験があり、この試験に合格しなければ初心者講習を修了したことにはなりません。試験は○✕式の50問で範囲は講座で習ったことやテキストブックなどから出題されます。合格ラインは9割つまり45問以上の正解で合格となります。一見難しそうに見えますが難易度としては運転免許の試験に合格する程度のものなのでそれほど心配はいりません。試験に合格した人には「講習修了証明書」が発行され次のステップに進めます。不合格となった場合、再び初心者講習を受講しなければならないため余計なお金と時間をかけることになります。必ず1回で合格しましょう。

POINT!!
低年齢者銃砲所持推薦
STEP 3
必ず一回で合格しよう!!
難しくはないが簡単でもない 油断せずしっかり予習しよう!
※20歳未満の人のみ
銃の所持は原則として20歳以上でなければできません。しかし日本クレー射撃協会が適当と認めた者であれば、「低年齢者銃砲所持推薦」を受けることによって18歳から銃を所持することができます。推薦の流れとしては現住所の都道府県のクレー射撃協会を通じて日本クレー射撃協会から推薦を受けます。そのため推薦を受ける人は自分が住んでいる都道府県のクレー射撃協会と日本クレー射撃協会の両方に入会することになります。各都道府県協会に必要書類を提出した後、日本クレー射撃協会から都道府県協会を通して申請者に推薦書が渡されます。推薦書を手に入れたら次のステップに進めます。また推薦には以下の事項を満たしている事が必要です。
・推薦基準
1、18歳以上20歳未満であること
2、親権者または後見人の承諾を得たものであること
3、都道府県クレー射撃協会に会員登録している日本クレー射撃協会会員であること
4、初心者講習を修了していること
5、日本体育協会または日本クレー射撃協会が主催する大会に年二回以上参加できること
教習射撃資格認定書の申請
STEP 4
このステップでは「教習射撃」を受けるための「教習射撃資格認定書」を申請します。「教習射撃」とはいわば銃所持のための実技試験のようなもので実際に銃に触れる最初の機会となります。詳しくはSTEP5で説明します。
教習射撃資格認定書の取得に際しては申請者が実際に銃を扱っても問題ない人物かどうか警察が判断するために様々な書類の提出や申請者に対する身辺調査等が行われます。身辺調査に関しては申請者の家族、友人、近隣住民などに対して聞き込み調査が行われます。大抵の場合聞き込み先に関しては申請者側が指定することができますが、周りに迷惑をかけないためにも事前にこうした理由から警察が聞き込みに来るということを説明しておきましょう。またこの申請は提出する書類が多いので用意のし忘れに注意してください。
必要書類一式
4「住民票の写し」
必ず本籍地のある市町村の役所で発行したものを提出してください。本籍地が遠い場合は郵送での請求も可能です。発行から3か月以内のものでなければ提出できないので注意してください
5「戸籍抄本(こせきしょうほん)」
これも同様に本籍地のある役所で発行してもらいます。戸籍謄本(こせきとうほん)ではないのでご注意を。郵送請求可能。発行から3か月以内でなければ提出できません。
6「身分証明書」
運転免許証や学生証のことではなく、本籍地のある役所で発行してもらう証明書のことです。郵送請求可能。発行から3か月以内でなければ提出できません。
7「診断書」
申請者が精神疾患やうつ病などを患っていないかどうかを証明するものです。作成は精神科医が行うので病院に行って診断を受けることになります。書式は警視庁のホームページにも載っているので、印刷したものを医師に渡して診断書を作成してもらいましょう。診断書を作成する医師は精神保健指定医である必要があります。しかしながら病院や医師によっては診断書の作成を断ったり、数万円という高額な請求をしたりするところも少なくありません。診断書を作成するにあたっては最寄の銃砲店または当団体にお問い合わせください。
8「申請者の証明写真」
証明写真機で撮ったものではなく、スタジオなどで撮ったものをなるべく使用してください。2枚必要になります。
9「講習修了証明書」
STEP2の初心者講習を修了した時に交付された証明書です。
10「推薦書」(二十歳未満のみ)
STEP3 にて20未満の方のみが日本クレー射撃協会から交付された推薦書のことです。
11「手数料」
地域差がありますがおおよそ9000円前後です。
警視庁HPからDLして記入するもの
本籍地のある役所で発行するもの
病院で医師に作成してもらうもの
その他
以上の書類を揃えて警察署に行きましょう
POINT!!
身辺調査の聞き込み先には事前に説明しておこう
提出書類は全部そろっているかしっかり確認しよう
STEP 5
教習射撃
教習射撃資格認定書が警察から交付されると、いよいよ教習射撃です。教習射撃とは射撃場の備え付け銃を使って銃の取り扱いや点検方法等を学び実際に銃を撃ちます。最終的に試験として1ラウンド(クレー25枚)の射撃を行い、2枚以上の命中で合格となります。また試験中は銃の取り扱いや安全確認も採点対象になります。危険な取り扱いや確認のし忘れは文字通り命取りになるので注意しましょう。
教習射撃では銃は射撃場のものを使用しますが、弾は自前です。弾の購入には「火薬類等譲受許可証」が必要になってきます。教習射撃資格認定書が交付されたらすぐに警察署に行って発行してもらいましょう。この許可証は教習射撃を終えたらもう一度警察署に行き返納します。
教習射撃は射撃場が行っている場合と銃砲店が行っている場合があるので調べておきましょう。教習射撃を行っている射撃場或いは銃砲店を見つけたら電話で予約して日程を決めます。弾は射撃場によっては購入することもできますが、装弾販売をしていない所もあるうえに銃砲店で買う弾より割高になることがあります。可能であれば最寄りの銃砲店で購入することをお勧めします。
また教習射撃には受講料が必要です。おおよそ3万~4万が一般的です。
教習射撃資格認定書は有効期間が3か月と非常に短いので交付されたらすぐに教習射撃を受けましょう。
POINT!!
認定書が交付されたらすぐに教習射撃を受けよう!!
火薬類等譲渡許可証の申請を忘れないようにしよう!
STEP 6
銃の所持許可申請
さて教習射撃を終え教習修了証明書が交付されたら、いよいよ自分の銃を決めます。自分がどの種目競技をするのかによって銃が変わってきます。銃を選ぶに当たってメーカー、デザイン、機能性等々いろいろなこだわりがあるかと思いますが、一番大事なことは自分の体に合っていることです。特に自分のマスターアイ(利き目)に合っている銃を選ぶか否かでは後々スコアに雲泥の差が出てきます。自分の利き目の調べ方はインターネットで検索するとすぐにヒットするのでぜひ確認してみましょう。クレー射撃に使われる散弾銃はとても耐久性が高く大事に扱えば一生使えます。自分の生涯の愛銃に巡り合えるよういろんな銃砲店をまわりながら予算にあった銃選びをしましょう。
自分に合った銃を見つけたら銃砲店に譲渡承諾書を書いてもらいます。それと共に申請に必要な各種書類意を揃えたら警察署に提出をします。この時点ではまだ銃を受け取ることはできません。書類を提出後、警察が自宅に保管状況の確認に来るので、ガンロッカーと装弾ロッカーは早めに用意しておきましょう。何か分からないことがあったら銃砲店に相談するのもよいでしょう。
必要書類一式
警視庁HPからDLして記入するもの
銃砲店で発行してもらうもの
病院で医師に作成してもらうもの
その他
2「譲渡承諾書」
自分が買う銃の購入先の銃砲店に発行してもらいます。自分の銃が決まったら銃砲店が作成してくれるので特に心配は要りません
3「診断書」
STEP4でも作成しましたが、ここでもまた診断書を作成して警察に提出する必要があります。作成から3ヶ月以内のものであればSTEP4で作成した診断書をもう一度使用することができます。しかし3ヶ月以上経過している場合はもう一度病院に行って作成しなおす必要があります。
4「申請者の証明写真」
証明写真機で撮ったものではなく、スタジオなどで撮ったものをなるべく使用してください。2枚必要になります。
5「講習修了証明書」
STEP2の初心者講習を修了した時に交付された証明書です。
6「教習修了証明書」
STEP5 にて教習射撃を修了したときに交付された証明書です。
11「手数料」
10,500円ほどかかります。
POINT!!
がんロッカー、装弾ロッカーは早めに設置しよう!!
STEP 8
銃の受取、確認
STEP6にて銃の所持許可申請を行い警察による調査が完了すると所持許可証が交付されます。交付されたら銃砲店に行って銃を受け取りに行きます。しかしここで注意しなければならないのは、それで銃を所持したことにはなりません。銃を受け取ったら2週間以内に警察署に行って確認を取ってもら います。警察の確認が終わって所持許可証に印が押されてはじめて銃を正式に所持することになります。
POINT!!
銃を受け取ったらすぐに警察署に行って確認を取ってもらおう
銃をもって射撃場へ
STEP 7
いよいよ銃を所持したら、あとは射撃場に行って撃つだけです。安全を第一にこれまでのステップで学んだことを忘れずに射撃をしましょう。また銃を取得すると1年ごとに警察の一斉検査(銃検)があるので忘れずに行きましょう。銃は取得した日から3回目の誕生日ごとに更新とな りますのでこちらも忘れずに更新を行いましょう。